あらすじ
「死んだ夫を冷蔵庫に入れて、一緒に暮らしてた。」
東京下町で、夫が遺した花屋「ひなげし」を営む指宿(いぶすき)セナ。
一年前、突然亡くなった夫・望の死を受け入れられなかったセナは、その遺体を花用の冷蔵庫に入れ、誰にも知られないまま暮らし続けていた。
しかしある日、望を入れた冷蔵庫が忽然と姿を消し、それを境に、セナは奇妙な夢を見るようになる。
核戦争によって人類が滅亡した世界。
唯一残された地下シェルター「ポピー」。
そこには現実では花屋で働く青年・律がアンドロイドとしてセナのそばにいて、死んだはずの望も生きていた。
理解できない夢が続く中、現実では消えた冷蔵庫を追う探偵が現れ、さらには「望を見た」という目撃情報まで飛び込んでくる。
望は本当に死んだのか?
冷蔵庫はどこへ消えたのか?
そして、セナの夢は何を示すのか?
夢と現実。
過去と未来。
失くした人と、
これから出会うはずだった世界。
その境界が少しずつ溶けていく時、
セナは、自分が見ていた「夢」の本当の意味を知る。
夢を見ない時代に、
夢を見た。
夢と現実が交差する、
喪失と希望をめぐる幻想SF。